東京風姿

「飾る本質」をデザインリサーチから探る

ディスプレイ造形という名の「空間計画」ディスプレイ造形という名の「空間計画」

造形装飾デザインは、建築家が小さな街を創ることに似ている造形装飾デザインは、建築家が小さな街を創ることに似ている

空間の価値を活かすものとして、照明計画やインテリアコーディネートなどの「ソフトとしての空間構成」があげられます。とりわけ、空間に飾られる造形装飾やデコレーションは、内装などのハードの良さと相まって、別次元の価値を生み出す、いわば、空間プロデューサーの企み・意図を大きく反映させられる領域です。

造形装飾の創作活動は、まず、空間そのものが造形対象物を巧妙に据えるための「器」であると考えます。優れた造形装飾は、「まっ白なキャンバス」から思い浮かんだイメージを「立体」で描くところから生まれます。造形装飾を手掛ける人はもちろん、この考え方は、ハードを手掛ける建築家の空間創り・街づくりの発想源にもなるのではないでしょうか。

今回はその発想のお手本の一つ、ダッチデザイン(Dutch Design)を考察します。とくに、「飛び出したディスプレイ」「飛び出した建築」を造形装飾の背景から関連づけてみました。オランダならではの建築文化から生まれたユニークな造形装飾で、ダッチデザインのユニーク性をご堪能下さい。

90 年代半ばのドローグデザイン、都市計画の制約での戸数制限から生まれた飛び出した集合住宅。
ドローグデザインはインテリアをはじめコンセプチュアルデザインとして世界に影響を与え続けています。
(この使用フォトはパブリックドメインの写真を使用しています)。

建築、グラフィックデザイン、プロダクトデザイン、そしてフローラルアートとガーデニングデザインを含めた「ディスプレイ造形装飾の分野」において、ダッチデザインは、ヨーロッパの中でもデザインに対する取り組みが特異(注1)であるといわれています。

オランダの国内の都市の街を歩けばその多様性に気づきます。

(注1)干拓作業による、作業上の平等の精神から生まれる「個人に対する尊重」が、個性と主張の力を生みました。オランダ絵画の世界での平等の精神は、レンブラントやフェルメールの作品に見られるように、貴族の注文肖像画は皆無で、働く人と庶民をモデルにしていることからも読み取れます。

ユトレヒトの
自転車ショップの装飾サイン
アムステルダム 
東部港湾地区の現代建築にも
飛び出しのデザインが伺えます。

グリーンハートが都市の膨張を防ぐグリーンハートが都市の膨張を防ぐ

オランダは、街ごとに多種多様な「顔」を持っています。国土の中央が大きなハート型の湿地で、その周囲に都市がそれぞれのコミュニティーを形成しているからといわれています。

歴史を遡ると、13 世紀以降の干拓の共同作業(注2) による背景に、産業と大企業の少ない事が特定のものに拘束されない独創的なアイディア・ソースを生む元となっています。デザインアカデミーで学んだデザイナーは、独立してスタジオを立ち上げて活動し、企業からの拘束の無い発想によるデザインを生みだしていきます。このようにして、世界で最もクリエイティブな国の一つ「デザイン立国オランダ」には、次々ユニークなデザインが作られていきました。

(注2)狭い国土の干拓による国づくりから、空間計画の重要性が培われてきました。

番地表示替わりの
「ヘフルストーン」という名前のレリーフ。
職業を表した「表札装飾」です。

アムステルダム
ヨルダン地区の
街でみつけた
建物のデコレーション

ヨルダン地区にある飛び出し絵本の様な
ケーキ店のショーウィンドー
アムステルダム市内の
郵便局のエントランス照明装飾

東京風姿の造形部門として、ウィリアム・モリスの持つ「頑なクラフトマンシップ」を継承しつつ、
「ダッチデザインのユニークな造形的発想」を大切にした創作活動を、
「東京風姿ならではのオリジナリティある造形装飾」へと役立ててまいります。

To be continued.
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